遺言の基本について

こんにちは。行政書士&ケアマネジャーの熊谷です。

皆さんは遺言と聞いてどんなイメージをお持ちでしょうか?

遺言には死のイメージがあるため、不吉な印象をお持ちの方も多いのでははいかと思います。

ですが、遺言というのは、とても心強いツールなのです。

今回は、この遺言の基本について、解説してみたいと思います。

縁起でもないと思わずにお付き合いいただけたら幸いです。

遺言とは

自分が亡くなった後、自分の遺産(財産)の処分について決めることができる仕組みです。

遺産のことだけでなく、

例えば

葬儀について

家族について

ペットについて

趣味のもの蔵書について

秘密について

など

自分が亡くなった後の願い事や連絡事項なども書くことができます。

 

残された家族への最後の手紙としての機能も果たせます。

 

遺言でできること

遺言を作っておくことで自分の財産を誰にどのように残すかを決めることができます。

 

配偶者、子供といった法定相続人だけでなく、お世話になった人に遺産を残すことができるほか、遺産を寄付することもできます。

例えば

介護をしてくれた息子の嫁に不動産を残す

内縁の夫(妻)にお金を残す

社会貢献活動へ寄付する

といったことをすることができます。

 

 

 

特に、身寄りが全くない方の場合、

財産は遺言がなければ国の財産になってしまいます。

国に召し上げられて、何に使われるかわからないくらいだったら、自分で使い道を決めたいですよね。

最近は社会貢献活動へ遺産を寄付する方が増えてきています。

 

 

 

 

遺言の限界

自分の遺産の残し方について自由にを決めることができる遺言ですが、その効力には限界があります。

それは遺留分と呼ばれるものです。

遺留分とは

法定相続人が、遺言があったとしても確保できる財産のこと

 

法定相続人のうち、配偶者、子供、両親などは

遺産のうち、法律で決められた割合については、自分がもらう権利があると主張することができます。

 

MEMO

遺留分が発生するのは、法定相続人が遺留分の請求を行なった場合の話です。

どの法定相続人も遺留分の請求をしなければ、相続は遺言の通りに行なわれます。

 

遺言がないとどうなる

遺言がない場合は、法律で決められている相続人(法定相続人)が遺産を相続することになります。

 

法定相続人がどのような割合で遺産を相続するかについては、一般的には、法定相続人全員で話し合いをして決めることになります。

遺産分割協議とは

法定相続人全員する「話し合い」のことを遺産分割協議といいます。

 

家族が円満で、遺産(特に現金)が豊富な場合は遺言はなくても遺産分割協議でトラブルになることは少ないのかもしれません。

しかし、以下のような場合は、家族間でもめ事になってしまうことが心配されます。

遺産は自宅だけで現金がほとんどない

遺産の中に自分が経営している会社の株式がある

家族の仲が悪い

隠し子がいる

離婚した配偶者との間に子供がいる

 

また、遺言を残さないと、法定相続人以外に遺産を残したり、寄付をすることは叶わなくなります。

 

また、遺産分割協議を行なわずに相続を行なう方法もあります。

その場合は、法律で決まった割合で相続を行なうことになります。

 

 

 

遺言書の種類と費用

一般的な遺言は以下の3種類です。

●公正証書遺言
●自筆証書遺言
●秘密証書遺言

それぞれの特徴を簡単にまとめるとこのようになります。

公正証書遺言 自筆証書遺言 秘密証書遺言
内容・文章を
考えるのは
公証人 本人 本人
遺言を
書くのは
公証人 本人 本人
遺言を
保管するのは
公証役場 本人 本人
遺言の
検認の必要は
なし あり あり
遺言を
作る費用は
かかる かからない かかる
検認とは
検認とは、家庭裁判所が、遺言が確かにあることにお墨付きをする手続きです。
相続人に対し遺言の存在や内容を知らせるとともに遺言書の偽造・変造を防止する意味があります。

 

 

 

 

 

遺言に書いた内容はどのように実現するの?

自分が亡くなった後、遺言に書いた内容は誰がどのように実現してくれるのでしょうか?

 

残された家族が実現してくれることを期待したいところですが、

遺言の内容によっては、なかなか難しい場合もあります。

例えばこのようなものです。

愛人に財産をあげる

家族に秘密にしていた隠し子を認知する

財産を寄付する

 

そうでなくても、相続とはお金の話です。

遺された家族の中に不満を持つ人がいれば、遺言の内容の実現は難しくなります。

 

そこで必要になるのが遺言執行者です。

遺言執行者とは遺言を実現する人です。

遺言執行者には強い権限が付与されます。

遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

 

遺言執行者には基本的には誰でもなることができます

相続人の一人がなることもできますし、弁護士、行政書士といった第三者がなることもできます。

注意
未成年者、破産者は遺言執行者にはなれません

 

遺言執行者を遺言で指定しておくことで、

遺言執行人が遺言の内容を実現してくれます。

 

遺言書作成の流れ(公正証書の場合)

遺言書作成の流れを公正証書遺言を例にとって説明します。

手順1
相談
遺言の内容を考えます
例えば
●どの財産を誰にあげるか
●遺言執行者をを誰にするか
●葬儀をどうするか
●家族へのメッセージ
など
手順2
調査
遺留分の請求の心配がある場合などは
法定相続人の戸籍を集めて法定相続人を把握します
手順3
打合
公証役場に出向き
公証人と打ち合わせます
手順4
作成
公証人が遺言を作成します
手順5
完成
公証役場に出向き
遺言を完成させます
具体的には公証人が遺言の内容を読み上げ
内容に問題なければ署名捺印するだけです
手順6
保管
遺言を保管しておきます
原本は公証役場に
謄本は自分で保管します
手順7
逝去
(ご逝去)
手順8
執行
遺言の内容を実現します
遺言執行者がいれば
遺言執行者が実現します。

 

遺言作成お手伝いいたします。

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